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介護する息子たちー男性性の死角とケアのジェンダー分析

足立区は北千住にある歯周病センター横田歯科医院 院長の横田です。夏休みの時期ですが皆様如何お過ごしでしょうか。

最近読んだ本「介護する息子たち」平山 亮 頸草社 ¥2500の紹介と感想です。

帯には上野千鶴子氏の「なぜ男の介護は困難なのか?介護する息子のミクロな経験を通じて、自分の依存を「なかったこと」にし、弱者を支配せずにいられない「男性性」の謎を解き明かす、著者の探求はスリリングだ。」の言葉が。

要介護の親への家族による虐待について最も多いのは息子から(40.3%)で夫から(19.6%)よりずっと多くなっています。

本書は息子としての男性に焦点を当てているが私が求めていたのは男性性とは何か、夫婦の間でどんなことを引き起こすのだろうと言うことだったのですが、それが介護する息子に端的に出るのではと思い読み始めた訳です。

P28 だが、男性は、常に依存的な存在である。それは「男らしい」男性も同様だし、むしろ「男らしさ」を追求するほど、その依存は巧妙に隠蔽される。第5章で指摘しているように、私的/内的なものへの依存は「男らしく」あることの暗黙の前提となっており、そうした依存を依存とみなさないことによって「男らしい」自立と自律は可能になっている。その意味で「男らしさ」の追求とは、「いかに依存しないか」ではなく、「依存をいかに依存として見せないか」とういうプロジェクトなのである。

手厳しいです。ケア労働がいつまでたっても正当に評価されないのは男社会にとって光が当たらない依存の部分であるからと喝破しています。

P196 例えばご飯をあげるにしても、そのことが誰かの生存や生活を支えるタスクになるのは相手の嗜好や心身の状態を理解した上でそれがなされているからだが、相手を理解するという営みは、他者と意思疎通を図るという意味において、他者と関わる=関係を築き維持する活動そのものである。つまりそれらのタスクがケアになる時そこには大抵、関係調整の要素がおり込まれている。

男が(つまり私が)家事をやるときなどタスクの部分でやった、やっていると思い行動しているがこの関係調整の部分をほとんどしていないまた、それをやっている人を評価していないと気づきました。

良い夫婦関係とはどんなものか、本当の自立とは何か、一歩ずつ進んでゆくしかないかなと思って読んだ1冊でした。重い。

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