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日本人の食事摂取基準2020年版

足立区は北千住にある歯周病センター 横田歯科医院 院長の横田です。

youtubeに食事バランス第6弾 食物繊維編をアップしました。

いままでの総括も含まれています。

 

 

さて、厚労省は5年ごとに改定している食事摂取基準を4月1日より改訂しました。

高齢者のフレイル対策に力を入れた結果となっています。

主な所をかいつまんでみると・・・

 
(1)きめ細かな栄養施策を推進する観点から、50歳以上について、より細かな年齢区分による摂取基準を設定するため、50~64歳、65~74歳、75歳以上という3区分とし、65歳以上を高齢者としています。

ちなみに、従前の基準である「日本人の食事摂取基準」2015年版(以下、従前)では、その年代は50~69歳、70歳以上という2区分でした。

(2)高齢者のフレイル予防の観点から、総エネルギー量に占めるべきたんぱく質由来エネルギー量の割合(%エネルギー)について、65歳以上の目標量の下限を、従前の13%エネルギーから15%エネルギーに引き上げました。

ちなみに、従前の場合は、50~69歳、70歳以上の年代それぞれにおいて、%エネルギーの目標量の下限は13%エネルギーとなっています。ただし、その上限は、2020年版も従前と変わらず20%となっています。

(3)若いうちからの生活習慣病予防を推進するために、次のような対応をしています。
・飽和脂肪酸については3~17歳、カリウムについては3~5歳の年齢階層で、目標量を新たに設定しました。
・ナトリウム(食塩相当量)について、成人の目標量を従前の8.0g/日未満から7.5g/日未満へと、0.5g/日引き下げました。また、高血圧と慢性腎臓病(CKD)の重症化予防のための目標として、新たに6.0g/日未満という量を設定しました。
・食事性コレステロールについて、脂質異常症の重症化予防を目的とした量として、新たに「脂質異常症の重症化予防の観点からは、200mg/日未満に留めることが望ましい」と記載しました。

サルコペニアの発症予防も

2020年版の最大のポイントは、高齢者のフレイルやサルコペニア(加齢に伴う筋力の減少または老化に伴う筋肉量の減少)の発症予防の観点から、特に65歳以上の年齢層において、たんぱく質を積極的に取るように基準を引き上げたことです。すなわち、高齢者であっても、青壮年並みにたんぱく質を取ることが望ましいのです。

高齢者においてたんぱく質の摂取が重要であることについて、2020年版では次のような趣旨の説明をしています。

〇近年、健康寿命の延伸の重要度が高まる中で、将来の身体機能障害との関連が強いフレイルとサルコペニアの予防の重要性が注目されている。この予防は、骨格筋とその機能を維持することである。骨格筋量、筋力、身体機能は、栄養素ではたんぱく質摂取量と強く関連するため、たんぱく質の重要性が注目されている。

〇高齢者のサルコペニア予防には、十分なたんぱく質を摂取する必要性が指摘されている。良質なたんぱく質を毎食25~30g程度摂取するためには、理論上、1日75g以上のたんぱく質を摂取することが必要であり、例えば60~70kgの体重の高齢者では、たんぱく質1.0~1.25g/kg体重/日以上を摂取する必要があるとする指摘もある。今回算定された目標量は、その摂取量以上になっている。

サプリメントの過剰摂取に注意を喚起

比較的健康であってもサプリメント(いわゆる健康食品含む)を日常的に取っている人も多数見られます。2020年版では、主要なサプリメントについて次のような趣旨の考察・指摘をしています。

【葉酸】受胎前後に葉酸のサプリメントを投与することによって神経管閉鎖障害のリスクが低減することは、数多くの介入試験で明らかにされている。しかし、この障害の原因は、葉酸の不足だけでなく複合的なものである。そのため、葉酸のサプリメントまたは葉酸を強化した食品の利用(狭義の葉酸の摂取)だけでその発症を予防できるものではないこと、それらを十分に摂取しているからといって食事性葉酸を含む食品を摂取しなくてよいという意味では全くないこと(これが他の栄養素の摂取不足につながり得ること)に、十分に留意すべきである。

【ビタミンC】ビタミンCの摂取量と血液中濃度、体外排泄を検討した研究から、1g/日以上を摂取する意味はないことが示されている。種々の疾病発症に対するビタミンCサプリメントの有益な効果は、まだ明確になっていない。慢性腎臓病患者では、ビタミンCの過剰の補給は、尿路結石や高蓚酸血症を来すので避けるべきである。

【カルシウム】カルシウムサプリメントの使用により、心血管疾患のリスクが上昇することが報告されている。この報告に対してはさまざまな議論があるが、通常の食品ではなく、サプリメントやカルシウム剤の形での摂取には注意する必要がある。また、ビタミンDとの併用によっては、より少ない摂取量でも血清カルシウムが高値を示すこともあり得る。

【亜鉛】平成28年国民健康・栄養調査における日本人成人の亜鉛摂取量から見て、通常の食品において過剰摂取が生じることはないが、サプリメントや亜鉛強化食品の不適切な利用に伴って過剰摂取が生じる可能性がある。

【鉄】平成28年国民健康・栄養調査における日本人成人の鉄摂取量から見て、その70%以上は植物性食品由来であり、通常の食生活で過剰摂取が生じる可能性はないが、サプリメント、鉄強化食品および貧血治療用の鉄製剤の不適切な利用に伴って過剰摂取が生じる可能性がある。

【セレン】サプリメントを摂取してセレン摂取量を意図的に高めることは、糖尿病発症リスクを高める可能性があるので控えるべきである。

【n-3系脂肪酸】魚類由来長鎖n-3系脂肪酸をサプリメントとして負荷して血清脂質の変化を観察した介入試験をまとめたメタ・アナリシスでは、血清トリグリセライドは有意な減少を示している。健康な者および脂質異常症者におけるランダム化比較試験(RCT)のメタ・アナリシスでは、魚油の摂取量の増加によりトリグリセライドが低下する。また、RCTでは食後トリグリセライドの上昇に対する抑制効果が得られた。このように、n-3系脂肪酸の摂取を増やすことは、トリグリセライド低下に有効である。

以上のとおり、2020年版では、特に微量栄養素、ミネラル類のサプリメントについて、過剰摂取の恐れがあることを指摘しています。医療関係者としても、十分に注意する必要があります。

 

以上プルデンシャル生命の7月のコラムからの抜粋でした。(ごんちゃん配信ありがとう)

 

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